コロンボ完全攻略ガイド：海外ビジネス展開とデジタルノマドライフの専門家向け総合マニュアル

コロンボ完全攻略ガイド：海外ビジネス展開とデジタルノマドライフの専門家向け総合マニュアル

スリランカの経済首都コロンボは、GDP成長率5.0%、IT産業規模15億米ドル、年間20%の人材増加率という強力な数字が示すように、南アジアで最も急速に発展している都市の一つです。2024年に経済危機から見事に回復し、デジタルノマド向けの最適化されたインフラ、東京の約35%という圧倒的な生活コスト、そして24時間利用可能なコワーキングスペースにより、アジア太平洋地域で注目される新興拠点として確立されています。本ガイドでは、ビジネス展開と長期滞在に必要な実用的情報を、最新の2024-2025年データと共に包括的に解説します。

基本情報とビジネス環境

人口・経済統計（2024-2025年最新データ）

人口統計

コロンボ市人口：647,557人（2025年推定）
コロンボ都市圏人口：230万人
コロンボ首都圏人口：560万人

経済指標

スリランカ総GDP：990億米ドル（LKR 29.89兆）
GDP成長率：5.0%（2024年実績、世界銀行予測4.4%を上回る）
一人当たりGDP：4,516米ドル（2024年、初めて4,000ドル突破）

主要産業構成

順位	産業分野	GDP構成比	特徴
1	サービス業	56.11%	金融、通信、観光、小売
2	工業	30.27%	製造業、建設、鉱業
3	農業	8.75%	茶、ゴム、ココナッツ、コメ
4	繊維・アパレル	約5%	主要輸出産業
5	観光業	約4%	2024年200万人超の観光客

IT・テック産業の爆発的成長

現在の規模（2024年）

輸出収益：15億米ドル
雇用者数：175,000人
成長率：年間約20%の人材増加率
国内第2位の外貨獲得産業、第4位の輸出部門

2030年までの野心的目標

デジタル経済150億米ドル貢献
300,000人の直接雇用創出
スタートアップ1,000社達成

ビジネス慣習と文化的特徴

コロンボでの成功には文化理解が不可欠です。階層重視の会議進行（最高位者の到着まで開始しない）、関係構築を重視する商習慣（本題前の雑談時間）、間接的コミュニケーション（直接的な「No」を避ける）が特徴的。時間に対する柔軟な感覚も理解が必要で、忍耐と継続的な関係構築がビジネス成功の鍵となります。

言語環境とコミュニケーション

公用語：シンハラ語（74.9%）、タミル語（19%）
ビジネス言語：英語（連結言語として憲法認定）
英語流暢者：人口の23.8%
ビジネスレベル英語：都市部のほぼ全てのビジネスパーソン

通貨・為替情報

通貨詳細

正式名称：スリランカルピー（Sri Lankan Rupee / LKR）
通貨コード：LKR
為替レート（2024年12月時点）：100円 = 200スリランカルピー

時差・気候の実用情報

時差：日本より3時間30分遅れ（夏時間なし、年間固定）

ベストシーズン：12月～4月（乾季、観光ピークシーズン）

気温：26-30°C
降水量：最小
ビジネス活動：最適期

コワーキングスペース：デジタルノマドの作業拠点

最高級・プレミアム環境

Likuid Spaces Charles Place

住所：#5 Charles Place, Colombo 03, Sri Lanka
Google Maps：Charles Place, Kollupitiya地区{:target=”_blank”}
営業時間：24/7アクセス（メンバー）
料金：月額50,000-80,000ルピー（25,000-40,000円）
WiFi速度：100 Mbps光ファイバー
設備：イタリアンエスプレッソマシン、エルゴノミクスチェア、サウンド・ビデオ録音設備、24時間指紋認証アクセス
特徴：最高品質、国際的環境、デジタルノマド実績豊富

Hatch Works（スタートアップアクセラレーター併設）

住所：Level 35 & 37, West Tower, World Trade Center, Colombo 01
Google Maps：World Trade Center Colombo{:target=”_blank”}
営業時間：24時間（メンバー）
料金：共有スペース USD 125/月（37,500ルピー、約18,750円）
WiFi速度：高速ファイバー
設備：最新AV機器、Tree House特別エリア、イベント・ピッチスペース
利用者層：起業家、スタートアップ、投資家

コストパフォーマンス重視

HomeTree Coworking（自然環境）

住所：16 Station Road, Bambalapitiya, Colombo 04
Google Maps：Bambalapitiya Station Road{:target=”_blank”}
営業時間：月-金 9:00-18:00
料金：デイパス 1,250ルピー（625円）
設備：3フロア（庭園・海洋・ブーゲンビリアテーマ）、屋上イベントスペース
特徴：ナチュラル・リラックス環境、デジタルノマドに人気

THE OFFICE WorkStudio（24/7アクセス）

住所：3 Cambridge Terrace, Colombo 07（Cinnamon Gardens）
Google Maps：Cambridge Terrace Cinnamon Gardens{:target=”_blank”}
営業時間：24/7アクセス
料金：25,000ルピー/月（12,500円）から
設備：オンサイトカフェ、屋外テラス、全飲食物750ルピー以下
特徴：ホームライク・プロフェッショナル環境

地域別選択肢

Mount Lavinia Business Hub（海岸エリア）

住所：273 Galle Road, Mount Lavinia
Google Maps：Mount Lavinia Galle Road{:target=”_blank”}
営業時間：月-金 9:00-18:00
料金：デイパス 2,500ルピー（1,250円）、月額25,000ルピー（12,500円）
特徴：ビーチから徒歩10分、24時間指紋認証、無料駐車場

WORX Coworking（リゾート風・3拠点）

主要拠点：Jawatte、Havelock、Nawala
Google Maps：WORX Jawatte{:target=”_blank”}
料金：ホットデスク 27,000ルピー/月（13,500円）、デイパス 1,000ルピー（500円）
設備：Zenガーデン、2つのプール、ソーラーパワー運営
特徴：リゾート風環境、環境配慮設計

WiFi完備カフェ：作業環境として最適な12選

デジタルノマド特化カフェ

Black Cat Café & Stay

住所：コロンボ7の1920年代植民地時代建物1階
Google Maps：Black Cat Cafe Colombo 7{:target=”_blank”}
営業時間：毎日8:00-21:00
WiFi：専用ファイバー22.43Mbps DL/15.20Mbps UL、パスワード：1morecoffee
電源状況：各席充電ポイント完備
価格帯：高め（ビーフバーガー3,500ルピー≒1,750円）
特徴：デジタルノマド専用設計、B&B併設

Cafe Kumbuk（健康志向・オーガニック）

住所：3/1 Thambiah Avenue, Colombo 7
Google Maps：Cafe Kumbuk Colombo 7{:target=”_blank”}
営業時間：火-日営業（月曜休み）
WiFi：高速、時間制限なし
価格帯：中程度（2人で1,000ルピー≒500円）
特徴：静かな庭園テラス、健康志向メニュー

24時間・長時間作業対応

Cafe Shaze（24時間営業）

住所：65 Ven. Muruththettuwe Ananda Himi Mawatha, Colombo 05
Google Maps：Cafe Shaze Colombo 5{:target=”_blank”}
営業時間：毎日8:00-24:00
WiFi：「いつも良好」高評価
特徴：静かで快適、駐車場完備、混雑少ない

Tea Avenue（会議室完備）

住所：Wijerama Junction, Colombo 7等複数店舗
Google Maps：Tea Avenue Wijerama{:target=”_blank”}
営業時間：平日6:30-23:00、土曜24時間
WiFi：1時間無料（購入必要）、継続利用可能
設備：プライベートルーム（最低消費15,000ルピー≒7,500円）

チェーン店・安定品質

Java Lounge（10店舗展開）

主要店舗：Jawatte、Barnes Place、Fort等
Google Maps：Java Lounge Fort{:target=”_blank”}
WiFi：最大30Mbps、品質良好
電源：各テーブル近くに配置
特徴：10杯購入で1杯無料、隠れた静かなスペース有り

Coco Veranda（2店舗）

住所：Ward Place, Colombo 07 / Crescat Boulevard, Colombo 03
Google Maps：Coco Veranda Ward Place{:target=”_blank”}
営業時間：Ward Place店24時間営業可能性
価格帯：高め（朝食850ルピー≒425円）

文化体験・特別環境

Barefoot Garden Café（アート・文化）

住所：704 Galle Road, Kollupitiya, Colombo 3
Google Maps：Barefoot Garden Cafe{:target=”_blank”}
営業時間：月-土10:00-19:00、日・ポヤの日11:00-17:00
特徴：庭園の静かな環境、アート展示、水曜クイズ・日曜ジャズ

Department of Coffee（スペシャルティ）

住所：10A Philip Gunawardena Mawatha, Colombo 07
Google Maps：Department of Coffee{:target=”_blank”}
営業時間：7:00-23:00
特徴：会議室完備、専門コーヒー、都市景観

デジタルノマドビザ：最新制度と申請ガイド

現在の状況と展望

重要な最新情報：Sri Lanka Digital Nomad Visa は2024-2025年現在も正式開始されていません

発表状況：2021年に内閣承認済み、実施開始日未定
予定内容：有効期間1年、更新可能、申請費用USD 500（約75,000円）
最低収入要件：月額USD 2,000（約30万円）

現在利用可能なビザ制度

ETA（電子渡航認証）+ 延長システム

基本ETA

有効期間：30日間（2回入国可能）
申請費用：日本人は現在無料（2024年9月27日から別途通知まで）
申請方法：オンライン申請（https://www.eta.gov.lk{:target=”_blank”}）
処理期間：5営業日以内

延長制度（最大270日滞在可能）

30-90日延長：USD 100（約15,000円）
90-180日延長：USD 150（約22,500円）
180-270日延長：USD 200（約30,000円）
申請場所：オンライン・現地入国管理サービスセンター
処理期間：約24時間

税務上の有利な取り扱い

非居住者ステータス

条件：年間183日未満滞在
税務メリット：スリランカ国外収入非課税
居住者課税：年間183日以上で全世界所得課税（0-40%累進）

就労・起業制限

許可範囲

スリランカ国外企業・クライアントとの業務のみ
IT、ソフトウェア開発、デザイン、コンサルティング等

禁止事項

スリランカ国内での雇用
現地ビジネス活動・会社設立

生活コスト：東京との詳細比較（2024-2025年）

住居費比較

住居タイプ	コロンボ	東京	比較指数
1ベッドルーム（市中心部）	111,154ルピー（55,577円）	173,929円	32
1ベッドルーム（郊外）	52,500ルピー（26,250円）	89,695円	29
3ベッドルーム（市中心部）	284,500ルピー（142,250円）	398,841円	36
スタジオタイプ	25,000-50,000ルピー（12,500-25,000円）	80,000-120,000円	21
シェアハウス	20,000-40,000ルピー（10,000-20,000円）	50,000-80,000円	25

食費・外食比較

項目	コロンボ	東京	比較指数
ローカル食堂（1食）	1,200ルピー（600円）	1,200円	50
中級レストラン（3コース/2名）	7,500ルピー（3,750円）	6,750円	56
ファストフード	2,500ルピー（1,250円）	800円	156
米（1ポンド）	113ルピー（57円）	344円	17
鶏肉（1ポンド）	632ルピー（316円）	534円	59
牛乳（1ガロン）	1,958ルピー（979円）	872円	112

交通費比較

交通手段	コロンボ	東京	比較指数
バス（1回券）	50ルピー（25円）	205円	12
月間定期券	1,500ルピー（750円）	12,000円	6
タクシー初乗り	120ルピー（60円）	500円	12
Uber/PickMe（市内平均）	300-800ルピー（150-400円）	800-1,500円	25
空港アクセス	3,000-3,500ルピー（1,500-1,750円）	3,000-4,000円	44

通信・娯楽費比較

サービス	コロンボ	東京	比較指数
SIM/月額プラン	1,292ルピー（646円）	3,978円	16
光ファイバー	4,522ルピー（2,261円）	4,950円	46
映画館	1,000ルピー（500円）	1,900円	26
ジム月額	4,345ルピー（2,173円）	10,090円	22

生活コスト総合評価

コロンボの総合生活コスト指数：約35（東京=100）

月額生活費目安

ローカル生活スタイル：15-20万ルピー（75,000-100,000円）
国際的生活スタイル：25-35万ルピー（125,000-175,000円）
高級ライフスタイル：40万ルピー以上（200,000円以上）

住居・交通・医療・安全：生活基盤情報

外国人に人気の居住エリア

Colombo 7（Cinnamon Gardens）- 最高級エリア

特徴：木々に囲まれた街路、植民地時代の大邸宅、政府機関・大使館集中
家賃相場：250,000-964,000ルピー/月（125,000-482,000円）
利点：一流学校・病院・ショッピングアクセス良好、最高の治安

Colombo 3（Kollupitiya）- 活気あるコスモポリタン

特徴：インド洋とガレフェースグリーンの景色、充実したナイトライフ
家賃相場：190,000-550,000ルピー/月（95,000-275,000円）
利点：公共交通・主要道路アクセス抜群

Colombo 5（Havelock Town）- バランス重視

特徴：外国人・地元住民両方に人気、Havelock City等高級複合施設
家賃相場：280,000-510,000ルピー/月（140,000-255,000円）
利点：手頃価格で中心部アクセス良好

賃貸契約の実践情報

契約条件

保証金：1-3ヶ月分家賃前払い
契約期間：1年契約一般的
重要確認事項：設備・安全対策（CCTV、セキュリティ）、家具・家電詳細

推奨不動産サイト

LankaPropertyWeb.com：最大手ポータル
ikman.lk：幅広い選択肢
House.lk：住宅専門

交通システム活用法

公共交通機関

バス：国営（赤白）・私営（カラフル）、100km未満150ルピー以下
中央ハブ：Pettah中央バスターミナル
鉄道：放射状ネットワーク、1等・2等・3等選択可能

配車アプリ（推奨）

PickMe：スリランカ最大、Tuk-tuk・Car・Van選択
Uber：5地区対応、24時間利用可能
Kangaroo Cabs：老舗、深夜・早朝信頼性高（電話：0112588588）

医療環境と日本人対応

推奨私立病院（英語対応）

Durdans Hospital

認証：JCI認定（国際医療水準）
サービス：国際患者ケア、空港送迎、ホテル手配
特徴：1945年設立、地域医療リーダー

Lanka Hospitals

認証：CAP認定検査部門、ISO 15189:2012認証
特徴：スリランカで最も認定の多い病院

Kings Hospital Colombo

所在：Narahenpita病院ゾーン
設備：120床最新設備、国際患者専門チーム

医療費相場

一般診察：公立無料、私立2,000-5,000ルピー（1,000-2,500円）
専門医：私立5,000-15,000ルピー（2,500-7,500円）
入院：私立1日10,000-50,000ルピー（5,000-25,000円）

緊急連絡先

救急番号：119（英語対応）
観光警察：1912
在スリランカ日本大使館：+94-(0)11-269-3831

安全・治安情報

現在の治安状況

外務省危険情報：レベル1「十分注意してください」
改善傾向：2009年内戦終結以降大幅改善
2019年テロ：連続爆破テロ発生、現在は大規模組織的テロの可能性低い

避けるべきエリア・時間

ペタ駅周辺：薬物常習者多数
コロンボ南部一部地域：治安悪化地区
夜間：人通り少ない場所での単独行動禁止

推奨防犯対策

貴重品最小限携帯、宿泊施設金庫利用
Uber/PickMe利用、路上交渉回避
地味な服装、高価品着用避ける
身分証明書常時携帯

自然災害リスクと対策

主要リスク

モンスーン・洪水：5-10月、豪雨による洪水・土砂崩れ
地震・津波：インド洋地震可能性、2004年津波の歴史
サイクロン：年数回発生可能性

対策

気象情報常時確認、低地・沿岸部での避難経路確認
屋内避難準備、緊急用品常備

日本人コミュニティとネットワーキング

日本人会・文化団体

JASTECA（Japan-Sri Lanka Technical & Cultural Association）

設立：1984年
住所：No 4, Bala Tampoe Lane, Colombo 03
連絡先：+94 11 2331894
活動：技術協力、文化交流、日本語教育、商業促進
対象：AOTSスカラシップ帰国者のアラムニ組織

JLEA（Japanese Language Education Association）

運営：JASTECAの一部門
メール：jleagen@gmail.com
ウェブサイト：www.jlea.lk{:target=”_blank”}
活動：JLPT実施、年次スピーチコンテスト、企業就職支援
実績：30年以上の日本語教育実績

定期イベント・文化活動

年次イベント

日本語スピーチコンテスト：33回開催実績
Japan Expo：2017年、2018年開催
Japan Film Festival：2019年開催

継続活動

茶会・カンディアンダンス教室
シンハラ語レッスン
文化交流イベント

日本食・日系サービス

高級日本料理レストラン

Nihonbashi

特徴：World’s 50 Best認定、シェフ・ダルシャン・ムニダサ
価格帯：高級（8,000-15,000ルピー、4,000-7,500円）

Minori Japanese Restaurant

場所：Granbell Hotel Colombo最上階
特徴：ライブ鉄板焼き・天ぷらステーション

カジュアル日本料理

Kuuraku Japanese Restaurant

場所：One Galle Face Mall
特徴：グローバルチェーン、焼き鳥・餃子・刺身
価格帯：中級（2,000-5,000ルピー、1,000-2,500円）

Sake Colombo By TSUKIJI UOICHI

特徴：日本チェーン系、伝統技法×現代風味

日本食材店

Jalanka Japanese Foods Supermarket

場所：Colombo
特徴：スリランカ初日本食スーパー、国際食材取扱い
SNS：Facebook 2,343フォロワー

The Japan Store LK

場所：Mount Lavinia
特徴：日本直輸入生活用品・お菓子
SNS：Facebook 2,589フォロワー

日系企業とビジネス機会

主要日系企業

企業数：約60社がBOI法下で運営
総投資額：3億5千万米ドル
雇用創出：12,000人以上

主要企業リスト

NTT：通信・IT
Mitsui Group：商社・投資
YKK：製造業
Noritake Lanka：セラミックス

Japan-Sri Lanka Kizuna Association

目的：日本・スリランカ間ビジネス・文化交流促進
活動：専門人材派遣、ビジネス支援、留学支援

スタートアップ・起業家コミュニティ

Lankan Angel Network (LAN)

設立：2012年
規模：75+投資家メンバー
実績：7億ルピー以上投資、20+企業支援
投資先例：Niftron、Magicbit、Mintpay

主要VC・投資機関

BOV Capital：スリランカ・シンガポール拠点
Third Lane Ventures：東南アジア、アーリーステージ
John Keells X：大手コングロマリット系アクセラレーター

法人設立・税制・金融情報

会社設立プロセス

基本手順と期間

設立期間：通常3-4ヶ月（BOI承認含む）
基本ステップ：
1. 会社名確認・予約（Registrar of Companies）
2. BOI申請（該当する場合）
3. 定款・付属定款準備・提出
4. 会社登録（Companies Act No. 7 of 2007）
5. 税務登録・労働省登録

投資要件

一般企業：法的最低資本金要件なし
BOI Section 16：最低投資額USD 250,000（100%外資可能）
外資制限業種：茶・ゴム等一次産業で40%制限

必要書類

Form 1（会社詳細）、Form 18（取締役同意書）
定款・付属定款、BOI承認書（該当時）

税制システム

法人税率

標準税率：30%
業種別優遇：輸出企業・SME・IT企業に軽減税率
農業：0%税率

個人所得税

居住者：累進税率6%-40%
2025年改正予定：月額150,000ルピーまで非課税（現行100,000ルピーから引上げ）
外国人優遇：雇用開始3年間25%優遇税率

VAT・その他税金

VAT標準税率：15%
源泉徴収税：配当10%、利息10%、ロイヤルティ14%

日本との租税協定

締結：1985年（2002年議定書修正）
主要効果：二重課税防止、軽減税率適用

銀行・金融サービス

推奨主要銀行

Commercial Bank of Ceylon

地位：最大民間銀行
サービス：全国展開、完全オンラインバンキング

Sampath Bank

特徴：第3位民間銀行、229支店・373台ATM
技術：完全コンピューター化、24時間モバイルバンキング

口座開設要件

法人口座

会社登記証明書、定款・付属定款
取締役会決議書、KYC書類
BOI承認書（該当時）

個人口座

身分証明書、住所証明書
最低預金額：25,000ルピー（定期預金）

国際送金・外貨規制

SWIFT：全主要銀行対応
規制当局：Central Bank of Sri Lanka
投資用口座：IIA（Inward Investment Account）必須

IT・デジタル環境とインフラ

インターネット・通信インフラ

固定回線（光ファイバー）

速度：100Mbps-1Gbps
主要プロバイダー：SLT、Dialog
価格例：SLT 10Mbps無制限 5,950ルピー/月（2,975円）
都市部カバレッジ：良好

モバイル通信

主要キャリア：Dialog（最優秀92Mbps平均）、Airtel、Mobitel、Hutch
4G普及：全国カバレッジ良好
5G状況：試験運用中、2023年商用化準備

電子決済・デジタルサービス

配車・ECアプリ

配車：Uber、PickMe（現地最大手）
EC：Kapruka、Daraz

VPN利用環境

法的地位：合法（禁止法なし）
実用性：高（政府SNS一時ブロック対策）
推奨サービス：ExpressVPN、NordVPN、Surfshark

デジタル政府サービス

統合ポータル：gov.lk
主要サービス：ビザ申請、会社登録、税務申告、公共料金支払い
多言語：シンハラ語、タミル語、英語対応

現地ビジネスチャンス・市場分析

成長産業・注目セクター

IT・デジタル産業の爆発的成長

現在規模：15億米ドル輸出、175,000人雇用
成長率：年間20%人材増加
2030年目標：150億米ドル経済貢献、1,000スタートアップ

主要成長分野

ソフトウェア開発・輸出：国第2位外貨獲得産業
デジタルマーケティング：急速な市場拡大
フィンテック：eZ Cash等モバイル決済普及
Eコマース：Daraz等プラットフォーム成長
観光・ホスピタリティ：2024年200万人超観光客

日本企業進出状況・成功事例

進出統計

企業数：約60社がBOI法下運営
総投資額：3億5千万米ドル
雇用創出：12,000人以上

成功事例セクター

製造業：YKK、Noritake Lanka（セラミックス）
IT・通信：NTT、Metatechno Lanka
商社・投資：Mitsui Group、Kawasho Corporation

政府外資誘致政策・優遇措置

BOI投資優遇制度

Section 16：優遇なし外資投資（最低USD 250,000）
Section 17：優遇措置付投資（セクター別設定）
税制優遇：法人税軽減、輸入関税免除等

重点誘致分野

IT・ソフトウェア：輸出企業に特別優遇
観光・レジャー：SLTDA連携優遇措置
製造業：輸出志向製造業への優遇
農業・食品加工：付加価値創出企業

今後5年間の経済見通し

経済成長予測

GDP成長率：2024年5.0%→2025-2030年平均4-6%予測
インフレ率：安定化傾向（2024年目標5%以下）
為替安定化：IMF支援下での通貨安定

投資機会

デジタル経済拡大：150億米ドル目標達成に向けた投資機会
インフラ整備：港湾・空港・道路整備プロジェクト
観光産業復活：ポストコロナ観光回復による投資機会
再生可能エネルギー：政府の脱炭素政策による投資促進

よくある質問（FAQ）

Q1: デジタルノマドビザはいつ開始されますか？

A1: 2021年に内閣承認されましたが、2024-2025年現在も正式開始されていません。現在はETA（30日）＋延長制度（最大270日）の組み合わせが最適解です。申請費用USD 500、月額収入要件USD 2,000で計画されています。

Q2: 英語だけでビジネスは可能ですか？

A2: はい、可能です。コロンボの都市部では人口の23.8%が英語流暢、ビジネスレベル英語はほぼ全ビジネスパーソンが対応可能。英語は憲法認定の連結言語でビジネス・学術分野の主要言語です。

Q3: 月額生活費はどの程度必要ですか？

A3: ライフスタイルにより大きく異なります。ローカル生活：15-20万ルピー（75,000-100,000円）、国際的生活：25-35万ルピー（125,000-175,000円）、高級ライフ：40万ルピー以上（200,000円以上）が目安です。

Q4: 治安は大丈夫ですか？

A4: 外務省危険情報はレベル1「十分注意」。2009年内戦終結以降治安大幅改善。2019年テロ発生も現在は大規模組織的テロ可能性低い。ペタ駅周辺・夜間人通り少ない場所は避け、Uber/PickMe利用推奨。

Q5: WiFi環境はどうですか？

A5: 都市部は良好。光ファイバー100Mbps-1Gbps、主要コワーキングスペース・カフェで高速WiFi完備。停電対策で発電機バックアップ有り施設推奨。

Q6: 医療費はどの程度かかりますか？

A6: 公立病院は外国人も基本無料利用可能。私立病院推奨で一般診察2,000-5,000ルピー（1,000-2,500円）、専門医5,000-15,000ルピー（2,500-7,500円）。海外旅行保険必須。

Q7: 会社設立にはどの程度の時間・費用がかかりますか？

A7: 通常3-4ヶ月（BOI承認含む）。外資100%可能（制限業種除く）、BOI投資は最低USD 250,000。現地居住取締役1名・秘書役指定必須。詳細は現地法律事務所相談推奨。

Q8: 税制上のメリットはありますか？

A8: 年間183日未満滞在で非居住者となり、スリランカ国外収入非課税。日本との租税協定により二重課税防止。居住者は全世界所得に累進税率6%-40%課税。

Q9: 銀行口座開設は可能ですか？

A9: 可能です。個人口座は身分証明書・住所証明書・最低預金25,000ルピーで開設。Commercial BankまたはSampath Bank推奨。法人口座は会社登記証明書等追加書類必要。

Q10: 日本人コミュニティはありますか？

A10: JASTECA（1984年設立）、JLEA等の活発なコミュニティ有り。日本食レストラン多数、食材店も充実。約60社の日系企業、12,000人雇用創出の実績あり。

まとめ・行動ステップ

コロンボはGDP成長率5.0%、IT産業年間20%成長、東京の35%という圧倒的コストパフォーマンスにより、アジア太平洋地域で最も注目される新興ビジネス拠点として確立されています。2024年の経済危機からの完全回復、24時間利用可能なコワーキングスペース、270日まで延長可能なビザ制度、そして英語ビジネス環境の充実により、デジタルノマドと海外ビジネス展開の理想的な拠点となっています。

推奨行動ステップ

短期訪問（1-3ヶ月）

ETA申請：日本人現在無料、eta.gov.lk{:target=”_blank”}で申請
コワーキング体験：Likuid Spaces・Hatch・HomeTreeでトライアル
住環境調査：Colombo 3・7・5エリアでAirbnb滞在
ネットワーキング：JASTECA・Lanka Angel Network参加

中期滞在（3-12ヶ月）

ビザ延長手続き：最大270日まで現地で延長可能
長期住居確保：LankaPropertyWeb等で1年契約
銀行口座開設：Commercial Bank・Sampath Bank
現地SIM取得：Dialog推奨、月額1,300ルピー程度

長期展開・法人設立

BOI相談：投資要件・優遇措置確認
現地法律事務所：会社設立手続き委託
税務アドバイザー：日斯租税協定活用策相談
日系企業ネットワーク：Japan-Sri Lanka Kizuna Association参加

成功のための重要ポイント

文化理解：階層重視・関係構築重視のビジネス慣習
安全対策：Uber/PickMe利用、夜間・危険エリア回避
保険加入：海外旅行保険必須、現地医療保険検討
情報収集：在スリランカ日本大使館・JETRO最新情報確認

コロンボは単なる低コスト拠点ではなく、急成長するIT産業、充実したインフラ、戦略的立地を活かした本格的なビジネス展開拠点として、今後5年間で飛躍的発展が期待される都市です。適切な準備と現地ネットワーク構築により、個人・企業ともに大きな成功機会を掴むことが可能です。